― 来年度の宝塚、みなさまの暮らしはどう変わるのか
3月26日の本会議で、令和8年度の予算がすべて可決されました。「予算が決まった」と言われても、遠い話に聞こえるかもしれません。けれど予算とは、宝塚市が来年度の一年間で「どこに、いくら使うか」を決めた、いわばまちの設計図です。みなさまの通学路にも、子どもの放課後にも、毎日の自転車にも、この一枚の図はつながっています。今回の予算が、暮らしのどこに触れているのかをご紹介します。

1,063億円。過去最大級の予算です
令和8年度の一般会計予算は、1,063.7億円。前年度より109.2億円増え、規模としては過去最大級です。「そんなに増えたなら、暮らしも豊かになるの?」と思われるかもしれません。けれど、ここはていねいにお伝えしたいところです。
| 区分 | 令和8年度 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 一般会計 | 1,063.7億円 | +109.2億円(111.4%) |
| 特別会計(計) | 519.97億円 | +5.4億円(101.1%) |
| 総計 | 1,583.7億円 | +114.6億円(107.8%) |
【歳出の主な内訳(目的別構成比)】
民生費43.4%/衛生費19.5%/教育費11.3%/総務費9.2%/公債費6.7%/土木費6.2%/消防費2.6%
増えたお金の大半は、新しいサービスのためではありません。ひとつは民生費――高齢者・障がいのある方・子育てなど、暮らしを支える社会保障の費用です。年々おのずと膨らんでいく、簡単には削れないお金です。もうひとつは衛生費。歳出のおよそ5分の1という大きさの正体は、新しいごみ処理施設の建設です。令和8年度以降に残る工事費だけで約448億円が見込まれています。
【家計にたとえると】
「給料が上がって暮らしが楽になった」のではなく、「医療や介護にかかるお金(社会保障)が増え、さらに家の建て替え(ごみ処理施設)の支払いが重なって、家計の総額がふくらんでいる」状態に近いものです。額が大きい=余裕がある、ではないのです。
来年度の、みなさまの暮らし
これらの中から、みなさまの毎日に近いものをいくつか取り出してみます。
自転車に乗る全ての人へ ― 「青切符」が4月から始まりました
令和8年4月1日から、自転車の交通違反にも反則金制度(青切符)が導入されました。対象は16歳以上。信号無視やスマホを使いながらの運転など、対象となる違反は113項目に及び、反則金はおおむね3,000円〜12,000円程度とされています。高校生も対象です。
議会では、「全市民に関わる大きな制度変更なのに、市として周知のための予算が見当たらない」という指摘が出ました。市は「専用の啓発予算は計上していないが、警察と連携して従来から啓発に取り組んでいる」と説明しています。知らないうちに反則金、ということが起きないよう、まずはこの制度が始まったことを知っておいてください。
子育て世帯へ ― 中学校の部活動が、地域へ移っていきます
中学校の部活動を地域のクラブへ移していく動きの中で、保護者の負担が月3,000円から5,000円必要になる見込みです。「お金がかかるなら参加させてあげられない」という家庭が出ないよう、経済的に厳しい世帯には国の補助を活用し、地域クラブには学校施設を無償で貸し出して参加費を抑える、という方針が示されました。
また、不登校やひきこもりの子の居場所「思春期ひろば」では、利用者の半数以上が市外の方だったことから、新規の受け入れを市民に絞り、市内の子が使いやすいよう見直す方針です。
まちのにぎわい ― 手塚治虫さんの「100年」に向けて
宝塚で育った手塚治虫さんの生誕100年は、2028年(令和10年)11月3日。市はその2年前にあたる来年度から、記念館への誘客とまちのにぎわいづくり、そして「マンガ・アニメの聖地」としての魅力づくりを本格的に始めます。学会などを呼び込んで宿泊を増やすMICE誘致の補助金も、補助額のおよそ10倍の消費を見込んで新たに用意されました。
その一方で、毎年親しまれてきた宝塚ハーフマラソンは、来年度の予算が計上されず、休止となります。物価や人件費の高騰、ボランティアの高齢化などが理由です。市は「やめると決めたわけではない」としています。にぎわいに力を入れる年と、続けることが難しくなった催し――その両方が、同じ一枚の設計図の中にあります。
安心・防災 ― 古くなった備蓄倉庫を、順に新しく
耐用年数を大きく超えたアルミ製の備蓄倉庫を、順番に更新していきます。末広中央公園と旧中山五月台幼稚園の2か所は、鉄骨やコンクリート造でまだ使えるため今回は対象外、という具体的な説明もありました。いざというときの備えを、静かに整えていく予算です。
くらしの場 ― ナチュールスパ宝塚が、6月末で休館します
市立の温泉施設「ナチュールスパ宝塚」は、設備の老朽化により6月末で休館し、温泉を活かした新しい使い方の検討に入ります。すでに行った事前調査では、複数の事業者が運営に関心を示しているとのことです。今後10年で2.6億円の改修も予定されていますが、温泉の配管そのものの改修は今回の対象には含まれていません。慣れ親しんだ場所だけに、これからの行方を見守りたいところです。
意見が分かれたところ ― 「子育て支援のお金を、誰が払うのか」
今回の予算は、一般会計もふくめ大半が全会一致で可決されました。意見が分かれたのは、国民健康保険と後期高齢者医療の2つの会計です。子ども・子育てを支える新しい仕組みのために、保険料へ上乗せという形で負担が生じることをめぐり、「子育て支援は大切だが、その財源は加入者の負担ではなく国が責任を持つべきだ」という反対意見がありました。賛成多数で可決されています。賛否そのものより、「みんなで支え合うお金を、誰がどう負担するのか」という問いが、ここには表れています。
この設計図は、まだ完成形ではありません
予算が可決されたことは、終わりではなく始まりです。決めたとおりに進んでいるか、暮らしの実感と合っているか――それを確かめ、次の年につないでいくことが大切だと考えています。今回ご紹介した一つひとつは、どこかでみなさまの毎日と交わっているはずです。
「ここはどうなっているの」「もっとこうなればいいのに」。そんな日々の小さな気づきが、来年度の宝塚をかたちづくる手がかりになります。皆さまの日々の暮らしの中で感じる「気づき」を、ぜひお聞かせください。。