2024年 議会活動報告
市制70周年という節目の年、宝塚市は大きな転換点を迎えています。財政調整基金を22.3億円取り崩す厳しい財政状況の中、これまでの行財政運営を根本から見直す必要性が明らかになりました。 私は、この状況を単なる「財源不足」の問題として捉えるのではなく、組織運営の仕組みと、住民の皆様へのサービスのあり方を問い直す機会として、次の2つの視点から活動を展開してまいりました。
- 経営的視点による市政変革
- 市民の暮らしの安心・安全を確保
30年前、阪神・淡路大震災からの復興は、市民一人一人の強い意志と地域のつながりの力によって成し遂げられました。今、私たちは、新たな課題に直面していますが、それは同時に、次の30年に向けた新しいまちづくりの機会でもあります。
活動における2つの視点
経営的視点による市政変革

財政課題(112.8億円の収支不足※2025年4月時点)を単なる「財源不足」ではなく、組織運営の問題と捉えています。3月議会では行財政経営方針における経営視点の希薄化を指摘し、財政調整基金22.3億円の取り崩しに対する具体的な対応策を提言。10月の決算特別委員会では組織改革の必要性を指摘いたしました。
市民の暮らしの安心・安全の確保

問題が深刻化する前に対策を講じること、そして市民参画による課題解決の必要性を提言しました。9月議会では売布自由が丘(137世帯486人)の防災対策、12月議会では小規模葬祭場の建設問題における地域合意形成の重要性を訴えました。
2024年における議会活動

私は1年を通じて、毎議会で一つの「問い」を立て、市政の本質に迫ってきました。
3月議会
行財政経営
の
「意味」
を問う
策定から3年の経営方針を検証し、その実効性を問い直した。
6月議会
サービス
の
「質」
を問う
限られた財源の中で、サービスの質をどう守り高めるかを問うた。
9月議会
行財政経営
の
「本質」
を問う
112.8億円の財源不足を、金額でなく組織の仕組みの問題と捉え直した。
12月議会
これからの
行政の
「役割」
を問う
高齢化が進む中で、行政が担うべき役割の転換を問うた。
決算委員会
宝塚市
の
「未来」
を問う
財政を組織の課題と捉え、宝塚の未来の創り方を問うた。
3月議会「行財政経営の " 意味 " を問う」
3月議会では経営的視点と市民生活の視点という両面からの提言を行い、その後の1年間の議会活動における基本的な姿勢を示しました。
財政運営の現状と展望(令和3年に策定された行財政経営方針の検証)
市は2021年に行財政経営方針を策定し、財政、組織、デジタル・データの3つの基盤強化に取り組んできました。この3年間で、財政規律の数値目標は達成したものの、依然として財政調整基金の取り崩しが続いている状況です。特に注目すべき点は、コロナ禍での交付金等により財政状況が一時的に改善し、策定時の危機感が薄れてしまったことです。 事業検証による効果額は年間3.2億円(内訳:下水道事業会計補助金1.9億円、小規模作業所廃止1,300万円、ふるさと納税1.1億円など)にとどまっていることにも現れていました。
市が直面している課題は単なる財源不足の問題ではなく、組織の仕組みに関わる本質的な課題です。意思決定の仕組み、経営資源の適正配分、PDCAサイクルの機能強化に取り組む必要があります。
市民の暮らしにおける課題への取り組み
一方で、市民の暮らしに直結する課題についても提起いたしました。
- JR武田尾駅のバリアフリー化:2基のエレベーター設置計画の具体化
- 市立病院へのアクセス改善:10月からの実証実験実施を決定
- 保育士確保策:就職支援金制度(12万円)の新設
- GIGAスクール構想:学校間格差解消に向けた具体的支援策の確認
6月議会「市民サービスの " 質 " を問う」
財政課題に直面する中でも、市民の安全は確保されなければなりません。本人通知制度や公契約の議論を通じて、限られた財源の中で市民サービスの質を維持・向上させる方策を提案しました。

個人情報保護の強化
住民票等の不正取得による個人情報漏洩を防ぐ「本人通知制度」の実効性と課題を検証。制度の周知強化、全件通知型への移行検討、被害者支援の充実を提言し、制度の改善を求めました。
効率的な公共事業の実現
市立スポーツセンターのテニスコート改修工事を例に、公契約における効率性と地域経済への貢献のバランスについて議論を展開。工事方法の選択による影響や利用者への影響、財政効率化への提言を行いました。
今後の展望
厳しい財政状況の中で市民サービスの質を維持しながら、より効率的な行政運営を実現するため、市民の安全確保施策の充実、事業実施方法の見直しによる経費削減、情報提供方法の改善を提案しました。
9月議会「行財政経営の " 本質 " を問う」
今後10年間で約112.8億円の財源不足が見込まれることが明らかになり、事務事業見直しの実施が示されました。これを受けて、単なる財源不足ではなく、組織運営の仕組みの問題として捉え、課題を提起しました。
行財政経営の本質的課題
市の財政見通しでは、今後10年間で約112億8,000万円の収支不足が見込まれることが発覚しました。この厳しい状況に対応するため、令和6年度の事務事業見直しが進められることになりました。 ただ、この見直しは短期的な対応にとどまっており、「財政」「組織」「デジタル・データ」の3つの基盤づくりはまだ道半ばです。そこで、私は次の点を提案いたしました。
- 経営層全体で危機感を共有し、具体的な行動計画を実行すること
- 行財政運営の硬直化を解消するための中長期的な対策を検討すること
- 市民と一緒に価値を創り上げる仕組みをつくること

市民の安全な暮らしに向けた具体的課題
売布自由ガ丘の道路建設と自治会館建設について、地域の安全に関わる重要な問題にもかかわらず10年以上も進展がない現状に、私は強い危機感を感じております。未だ地域の出入口は土砂災害の危険のある一つしかなく、災害時に地域全体が孤立するリスクを抱え続けています。
- 市の積極的で迅速な関与
- 自治会館建設の拠出金を道路整備に活用する案(インフラの早急な整備)
- インフラ整備にとどまらない地域防災力強化への対応

12月議会「これからの行政の " 役割 " を問う」
2040年に7万7,181人。 これは、宝塚市の65歳以上の人口予測です。高齢化という単なる数字の増加ではなく、私たちのまちが直面する深刻な課題について取り上げました。

高齢者の終活支援(エンディングサポート)について
独居高齢者世帯はわずか5年で1万8,468世帯から2万817世帯に増加、高齢者のみの世帯も1万4,609世帯に上っています。自分らしい人生の締めくくりを実現し、残される人々の負担を軽減するため、以下の提案をしました。
- エンディングプランサポート事業の拡充
- 専門的な相談窓口の設置
- 関係機関との連携強化
地域社会と「小規模葬祭場の建設」開発の調和
過去5年で3件の小規模葬祭場の建設があり、地域社会との合意形成の難しさが浮き彫りになっています。以下の提案をいたしました。
- 地域のルール作り支援(まちづくり協議会や自治会との連携強化)
- 市民目線の情報発信(出前講座の実施、わかりやすい広報の展開)
- 事前の情報提供体制の整備
行政が単なるサービス提供者ではなく、地域社会全体のコーディネーターとして機能すること。市民の皆さん、事業者の方々、行政が力を合わせて、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めることの重要性を訴えました。
決算特別委員会「宝塚市の " 未来 " を問う」
2023年度決算を振り返り、宝塚市の財政状況と将来展望について議論を展開しました。
財政状況の構造的課題
本市は深刻な財政課題に直面する中で、私はこの状況を単なる「財源不足」ではなく、組織における仕組みの問題と捉えています。具体的には以下の3点を課題提起しました。
- 予防的財政管理の確立:財源不足の事前把握システムの構築、予算配分・分析機能の強化
- 時代に即応した行政運営:市民ニーズや課題の変化に対応する予算執行・事業評価、PDCAサイクルの刷新
- 組織マネジメントの強化:トップダウンによる明確な方向性提示、スピーディーな意思決定システムの構築
市民の暮らしにおける主な課題
個別の事業を見ても、単なる予算削減では解決できない課題が浮かび上がっています。
- 通学路安全対策事業
550万円という限られた予算の中で、PTAから「要望が通らない」という切実な声が上がっています。子どもたちの命と安全を守るという、すべての市民が共感できる喫緊の課題に、より効果的な対応が求められています。 - ハーフマラソン事業
単なるスポーツ大会ではなく、市民の交流と健康づくり、地域の活力を生み出す大切な場です。この「市民の共同の場」としての価値をどう守り、発展させていくのかが問われています。 - 震災追悼防災事業
式典の形式変更で約120万円の経費削減を実現した一方、震災を知らない若い世代への記憶の継承という重要な機会が失われる懸念があります。予算削減と価値の継承を両立させる新たな防災啓発が必要です。

次の30年を目指して
30年前の阪神・淡路大震災からの復興は、市民一人一人の強い意志と地域のつながりの力によって成し遂げられました。その一方で復興事業による財政負担は重く、以来、本市は行財政改革という道を歩んできました。施設の統廃合や事業の見直しなど、時に厳しい選択を迫られながらも、市民サービスの質を守ろうと努めてきた30年でした。これらの経験は、私たちの大きな財産です。
今、私たちは新たな課題に直面していますが、それは同時に次の30年に向けた新しいまちづくりの機会でもあります。組織の仕組みを変え、予防的な政策を展開し、市民の皆様との協働により、宝塚市がこれからも「住みたい」「住み続けたい」まちであり続けるために、引き続き具体的な政策提言と実践を重ねてまいります。皆様からの忌憚のないご意見、お聞かせください。